シャオミのCEO、レイ・ジュン氏が、フェラーリを運転している最近の動画が、中国のソーシャルメディアに大きな話題となっています。
投稿を見た中国の視聴者のひとりは、これはシャオミの公式動画ですと、面白おかしくコメントしています。
この動画は、今年3月に、シャオミ初の電気自動車「SU-セブン」が発表された直後に投稿された為、人々の関心の高さも頷けます。
シャオミ「SU-セブン」のデザインは、ポルシェ タイカン ターボに驚くほど似ていることから、中国では「ポルシェ ・ミー」というニックネームが付けられています。
SU-セブンが公開されたとき、自慢げにプレゼンするレイ・ジュン氏を見た人々は、ポルシェのモデルの露骨な模倣のようだあざ笑いました。
そして次に、シャオミが次にどのモデルを模倣するのかと憶測が広がる中、フェラーリ・プロサングエを運転するレイ・ジュン氏の姿を見た人々は、
次はシャオミが、フェラーリを模倣するのではないかとコメントしました。
同時に、レイ・ジュン氏が、シャオミ初のEVを発表したばかりの時期に、フェラーリに乗っているのを疑問視する声が多く上がりました。
今や自動車ブランドの代表者となった、レイ・ジュン氏が、シャオミの車を運転しないという行動は、
他のEVメーカーのCEOが、自社ブランドの車に自信を持って運転する姿とは対照的です。
中国版テスラとも評され、2010年代後半から著しい成長を遂げた、中国EV市場・3位のNIO(ニーオのCEO・ウィリアム・リー氏は、
ビジネスとは関係なくプライベートでも、必ず自社の車に乗ることで知られています。
ニーオのCEO・ウィリアム・リー氏は、シャオミのCEOとは対照的に、ニーオの車に自信を持ち、自身の責任をよく理解しているようです。
確かに、シャオミのCEO、レイ・ジュン氏が、プライベートでフェラーリを運転していることは、法律的に何の問題もありません。
「行動は言葉よりも雄弁」と言われます。プライベートな移動で、シャオミ「SU-セブン」の車を運転しないという彼の選択は、確かに多くを物語っています。
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シャオミのCEO、レイ・ジュン氏は、おそらく自社の製品の信頼性を最もよく理解しており、
シャオミの電気自動車に潜在的な問題があることをよく認識しているのかも知れません。
2021年3月、シャオミは電気自動車市場に参入する意向を発表。
レイ・ジュンCEOは、同社がこのプロジェクトに今後10年間で約100億米ドル(日本円に換算すると15,000億円)の投資を想定すると説明しました。
3年後の2024年3月28日、同社はついにシャオミ初の電気自動車「SU-セブン」を発表しました。
その発表イベントでは、SU-セブンのと、ポルシェのタイカンターボとの驚くべき似通ったデザインに、SNS上で大きな騒動を引き起こしました。
スポーティなデザインに加えて、この車は数値上、素晴らしいスペックと、目が回るような多くの機能の配列を誇っています。
SU-セブンには、携帯電話ホルダー、強力な懐中電灯、車載ミニ冷蔵庫、照明、折り畳み式サンシェードなどの追加のアクセサリーが満載でした。
しかし、これを見た多くの人々からは、追加のアクセサリによって価格を吊り上げるという、中国の他のEVメーカーのトレンドであると非難されています。
シャオミ初のEV「SU-セブン」は、発売以来、様々な問題に悩まされています。
発売翌日には、5000元(日本円で約10万円)の契約金前金は、7日を過ぎると車両の構成が自動的にロックされ、
契約金は返金されなくなるなど、契約解除に関する苦情が相次ぎました。
さらに納車後も、コスト削減による、内装の膨らみや塗装の問題、テスト車両での度重なる事故など、一連の批判に直面、中国のソーシャルメディアでトレンドになっています。
最近、SU-セブンのある所有者が、シャオミの運転支援機能に関する厄介な体験を動画で共有しました。
同社が「シャオミ・パイロット」と呼ぶ運転支援システムは、LiDAR、3基のミリ波レーダー、
11基の高精細カメラ、12基の超音波センサーを搭載。
Nvidiaのチップで処理を行い、レベル2の運転支援システムや駐車アシストを提供するとしています。
動画では「シャオミ・パイロット」と呼ばれる運転支援システムで高速道路を走行中、車は突然車線を変更して急ブレーキをかけ、ドライバーを恐怖に陥れました。
SU-セブンの所有者は「シャオミ・パイロット」を批判、他の人に注意して使用するよう促しました。
さらに所有者が、シャオミのカスタマーサービスに報告したときの応答は、満足できるものではありませんでした。
シャオミのカスタマーサービスによると、問題はカメラのほこりや、わずかな傾斜が原因で、フロントカメラが地面を障害物と誤認したことが原因である可能性があると言ったそうです。
これはまるで「ほこりっぽい道路や坂道では、「シャオミ・パイロット」を使用しないでください」と言っているようなものです。
シャオミのカスタマーサービスは車を、スマートフォンのようにソフトウェアアップデートで問題が解決するような、手軽な対応を行っているように思えます。
別のSU-セブン所有者は、使用してから2週間も経たないうちに、ルームミラーから大きな異音を発し始めたと述べています。
所有者は、シャオミのカスタマーサービスに連絡、検査のためにサービスセンターまで持ち込むことを勧められました。
サービスセンターまでは、往復600キロを要し、修理代金は無料でしたが、所有者が支払った高速道路代金、
宿泊費などは補償されず、所有者の失望は、すぐに怒りに変わりました。
所有者が苦情をのべると、シャオミ・サービスは、何千もの部品がある車で、1つか2つの小さなノイズが発生するのは正常であるとし、
さらに、時間の経過とともに、症状は良くなるはずとさえ言ったそうです。
そのほか、シャオミ・SU-セブンには、電子デバイスの不安定さ、プラスチック素材で最悪で質の低いインテリア、
非常に薄く貧弱なアンダーカバー、わずか時速60キロメートル以上走行での著しい騒音レベル、
アフターサポート体制の貧弱さなど、所有者を苛立たせている未解決の問題が多くあります。
これらの問題を考えると、シャオミのCEO、レイ・ジュン氏が、自社の車よりも、普段の足として、フェラーリを選ぶのは賢明なことかも知れません。
近年、自然発火の報告が頻繁にあり、View ID電気自動車のさまざまなモデルが、ブランドの電源システムの信頼性について重大な懸念を引き起こしています。
中国・電気自動車の品質問題は、シャオミだけに留まりません。
中国最大の電気自動車メーカーBYDの様々なモデルが、ブランドの信頼性について重大な懸念を引き起こしています。
BYDは2024年9月29日、火災の危険性があるとして同社のEV、ドルフィンおよびユエン・プラス、2車種9万6,714台を、中国・国家市場監督管理総局にリコールを届け出ました。
この動画は、BYDの営業担当者が、試乗する顧客にハンドルから両手を離すように促したところ、車が前の車と衝突したとされるものです。
次の動画は、BYDの高級ブランド・ヤンワン U8が、浅い川を渡ろうと、途中で動けなくなっているものです。
ヤンワン U8は、BYDが「水深1m以上で、最大30分間浮き、少なくとも2ノット(約時速3km)の速度で航行可能、操舵もできる。」として宣伝しています。
しかし撮影した男性は、ヤンワン U8は小さな小川を渡っただけで、すぐに走行不能になったと話しています。
中国の自動車市場では激しい価格競争の長期化により、多数の自動車メーカーの経営が苦境に瀕しています。
そんな中、成長性と収益性の両面で競合を圧倒するパフォーマンスを見せているのがBYDです。
BYDは中国のトップ10のEVブランドの中で、唯一黒字を計上している企業です。
しかし注目すべきなのは、上半期のEVとPHVの販売台数が前年同期比28.46%増加した一方で、
自動車関連事業の売上高の伸び率は同9.33%にとどまったことです。
同社は、半年間の販売台数が160万台、純利益が136億元(約19億米ドル)だったと報告した。
それでも、1台当たりの利益はわずか8,500円(約1,200米ドル)未満で、フェラーリ1台分の利益に匹敵するには、BYD車を100台販売して利益を得る必要があることを意味する。
販売台数と売上高の伸び率に大きな落差が生じたことは、価格競争の影響による車両1台当たりの収入減少の表れにほかなりません。
中国のEV業界関係者の間では、過当競争の中で値下げを率先して仕掛けて市場シェアを拡大したBYDを「価格破壊王」と呼ぶ向きが少なくありません。
そして中国の自動車メーカーの課題として、コアテクノロジーの不足が挙げられます。
モーター、コントローラー、チップなどの、車両に必要な主要コンポーネントは、多くの場合、輸入されています。
今年の10月15日、1984年に設立された、中国最初の私有自動車メーカーである長城汽車のウェイ・ジ・イアンジュン会長は、シナ・ファイナンスとのインタビューで次のように述べました。
ウェイ会長は「従来の内燃機関技術では、中国の電気自動車は外国ブランドと競争することはできません。」と述べ、さらに、中国には必須技術が不足していると強調しました。
ウェイ会長は「中国の主要なバッテリー産業の技術は最初、米国で発明、日本で世界で初めて商品化された、
また自動車業界が使用するコントローラーとチップは、ほとんどが外国製です。」と述べました。
また、ソニー・ホンダモビリティの川西泉社長も以前、産経新聞などのインタビューに応じ、
中国EVメーカーについて、開発のスピードの速さを「勢いがある」と評価する一方、
IT利用は「スマートフォンのアイコンを並べているだけという感じだ」と述べ、技術的な驚きはないとの見方を示しました。
2023年後半に公開された川西社長の発言は、中国の自動車業界内外で大きな議論を巻き起こしました。
そして中国のテクノロジー誌の記者は、それを裏付けるように、今年の4月、バッテリー管理システム、
モーター制御ユニット、車両制御ユニットなどの制御モジュールのコアハードウェアは、
主に国外の外国企業によって占められていると報じました。
EV部品製造の専門企業もまた、自社のウェブサイトで発表した記事で、技術力の重要な指標である駆動モーター技術の特許出願のうち、
中国が占める割合はわずか5%に過ぎないことを明らかにしています。
同社は、これらの特許の90%以上は、欧州、米国、日本からのものであり、重要な部品の面では、中国の自動車企業の技術的差は大きいと述べています。
シャオミのSU-セブンをめぐる様々な問題や、同社のCEOレイ・ジュン氏の行動など、
この動画でご紹介した内容について、あなたはどう思いましたか?
今後の中国の電気自動車市場は、どのような方向に進んでいくのでしょうか?
それではまた、次の動画でお会いしましょう!
ご視聴ありがとうございました!
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