ずんぐりとした可愛らしい車は、中国・北京市に本社を置く生活関連サービス企業
「メイトゥアン」の、フードデリバリーサービスを行う自動運転配達車です。
可愛らしい見た目に騙されないでください。彼らは中国のドライバーと同じくらい、交通ルールをよく理解しています。
赤信号を無視し、道路を横断するときに、決して対向車に道を譲ったりしません。
しかし、いつも賢いわけではありません。
前方に交通事故で停止している車に遭遇した場合、管理スタッフが対応に駆け付けるまで、ずっとそこで待機するだけです。
また、あなたが頼んだ食品の配達が遅れる場合は、もしかしたら道路工事が原因かもしれません。
北京ではメイトゥアンの配達車が、道路工事の作業が終わるのをきちんと並んで待っているのをよく見かけます。
中国の人々がこの配送車を「おまぬけで、かわいい」と表現するのは、まさにその通りです。
例えば、前方に大きな穴があっても、この車はそこに突っ込んでしまいます。
障害物が進路を塞いでいる場合は、配達車が歩行者に助けを求めます。この小さな車は臆病なようです。
多くの人は、この車が発する大きな声の挨拶を突然聞くと、驚いて急ブレーキをかけるかもしれません。
通常、車線変更するときは非常に慎重です。しかし、この小さな黄色い配送車を見てください。
トラックが左折レーンを塞いでいたため、一瞬ためらいましたが、急に加速、前進、その後、前を強引に横切って左折レーンに車線変更しました。
自動運転配達車は時折、車線変更操作などが攻撃的になり、後続のドライバーを怖がらせることがあります。
中国では度々、メイトゥアンの自動運転車が道路上で、突然ブレーキをかけ、車線を変更する動画が捕られています。
自動運転配達車の突然の行動は、後続のドライバーが予測することを困難にし、明らかに事故のリスクを高めます。
メイトゥアンによれば、この車両は、レベル・フォーの自動運転機能を持ち、市街地道路の最大航続距離が120キロメートル、
最小5センチメートルから最大150メートルの範囲、360度の環境をリアルタイムで認識できるとされています。
車両には、3つのセンサー、19個のカメラ、2つのミリ波レーダー、9台の超音波レーダーが装備されています。
積載量は150キログラム、貨物容積は540リットルで、終日稼働でき、クルマレーンと自転車レーンの両方を走行できます。
配送車両が顧客の待つ場所に到着すると、車が自動で顧客に連絡、注文品を受け取るように通知してくれます。
そして配送が完了すると、自動的に配送ステーションに戻り、荷物を積み直します。
最近、北京、上海、深センなどの中国の大都市の路上に、これらの自動運転配送車が大量に登場しています。
果たして、これらの自動運転車は安全でしょうか？また事故が発生した場合はどうなるのでしょう？
自動運転は新しい技術であるため、管理、規制、さらには技術、倫理問題など、多くの問題が伴います。
自動運転車が交差点で出会い、お互いの車は、丁寧に停止、動かなくなってしまいました。
警備員が介入し誘導すると、ようやく車は先へ進みました。
2021年10月、北京市で、自家用車とメイトゥアンの自動運転配送車が関与する交通事故が発生しました。
現場を調査した結果、中国の交通警察はメイトゥアンの車両に全責任があると判断、罰金を科しました。
これは、中国本土で初めて自動運転配送車に罰金が科された初めて公表事例となりました。
自動運転技術は中国で、配送車、物流トラック、鉱山作業者などの分野で急速に発展しています。
これは北京、上海、中清、深センなどの都市で運営されている、自動運転の朝食配達車と宅配車です。
これらの車両は、メイトゥアン以外にも、中国ではさまざまな企業によって開発および運営されています。
ネットユーザーが撮影したビデオには、2台の自動運転の朝食配達車が、交通の流れに逆らって強引に侵入する様子が映っています。
動画を見た多くの人々は、自動運転車が交通ルールを守らないと、今後、多くの事故を起こす可能性があるとコメントしました。
また昨年8月には「武漢の通りで、自動運転車にあて逃げされた」とするビデオが投稿、話題になりました。
投稿者が運転する車のドライブレコーダー映像には、中国テック大手の百度（バイドゥ）が運営する、
アポロゴーのロゴが付いた自動運転タクシーが強引に車線変更、投稿者の車の右前部に接触する様子が映っていました。
その後、アポロゴーの自動運転タクシーは停止、ハザードランプを点灯して数秒間一時停止した後、
信じられないことに、その場から立ち去りました。
アポロゴーは百度（バイドゥ）の自動運転タクシー（ロボタクシー）サービスで、2022年8月に武漢で正式に運用を開始、
武漢ではすでに約500台が運行しており、うち300台余りが完全自動運転だといいます。
しかし、現地では頻繁なナビゲーションエラーと、道路状況の変化に対する応答の遅さから、
武漢の人々は、「愚かな大根」というあだ名で呼んでいます。
中国のインフルエンサーは、話題作りの為、アポロゴーのロボタクシーに乗る際にあえてヘルメットをかぶり、
自動運転の不安定な運転風景を撮影、視聴回数を増やしています。
中国の有名なハイテクブロガーは、百度（バイドゥ）の自動運転タクシーの、強引な車線変更の背後にある制御ロジックに疑問を呈しています。
彼は、車が数秒停止した後、なぜ現場を離れたのかセンサーと道路認識により、車両は潜在的な状況を予測し、衝突後に回避計画を立てることができるはずだ。
手動操作にはタイムリーなフィードバックがあるはずで、数秒停止した後に車両が現場から立ち去った理由は不明だ。
黄河 （こうが科学技術大学の張・客員教授は、通常、自動運転タクシーが事故を起こすなどの緊急時には、 常に監視センターで対応するスタッフがいるはずだと述べました。
つまり、アポロゴーのロボタクシーが事故を起こし、数秒停止した後に、現場から立ち去った理由は、
スタッフが、責任を回避するために現場から逃げることを決めからではないかというのです。
武漢で最近起きた、この百度（バイドゥ）のロボタクシー）が事故後に現場から逃走した事件は、
中国でも注目を集め、百度（バイドゥ）は、事故は非常に小さな接触であると釈明しました。
また、ぶつかった相手とは、すでに合意に達し損害賠償済みであり、逃走したわけではないと述べました。
しかし、百度（バイドゥ）のロボタクシーによる乱暴な運転はこれまでにも例があり、同社の公式説明の信憑性には疑問が残ります。
2017年、百度（バイドゥ）の開発者会議で、CEOのロビン・リー氏は、自身が乗る百度（バイドゥ）のロボタクシーの様子をライブ配信。
その際、ロボタクシーが進入禁止を示す実線を越えて、強制的に車線変更した為、
百度は中国で自動運転車として初めて、交通違反切符を切られ、大きな議論を巻き起こしました。
最近SNSに投稿された動画でも、百度（バイドゥ）のロボタクシーが駐車禁止の区域に駐車、その後、進入禁止の実線を越えて走り去る様子が映っています。
SNS上では、百度のロボタクシーのロジックは、CEO・ロビン・リー氏の運転スタイルをモデルにしていると冗談交じりに語っています。
自動運転車が路上を走るようになるにつれ、中国でも交通事故のさいの、責任の所在の判断が焦点となっています。
通常、交通事故では、ドライバーが事故の責任を負います。
しかし、完全な自動運転では、操作は人工知能によって制御され、運転手は直接の責任を負うことはなくなります。
自動運転車が事故に巻き込まれた場合、責任はどのように決定されるべきでしょうか？
2022年8月1日、中国・深セン経済特区で、インテリジェント・コネクテッドカーの管理に関する規制が施行されました。
規制によると、運転手がいない状態で、完全自律型のインテリジェント・コネクテッドカーが損害を引き起こした場合、車両の所有者または管理者が賠償責任を負うことになっています。
また、レベル4以上の自動運転は、倫理的問題を無視することはできません。
たとえば、衝突が発生した場合、システムはドライバー、前部・座席、後部・座席の誰を優先して保護する必要があるのでしょう。
さらに、避けられない衝突時に回避する、障害物の選択などの問題には、倫理的問題が存在します。
そして、自動運転に関する法律は、技術の発展に遅れずに議論される必要があります。
中国国家統計局によると、2021年末までに自動運転車の急速な発展と広範な導入により、食品配達や配車サービスの労働者の失業に対する懸念が高まっています。
2023年上半期で、中国で配車ドライバーとして登録された総人数は1億人を突破。
そのうちフードデリバリー・ドライバーの数は、すでに1300万人を超えており、
さまざまな地域で、配車サービス市場がすでに飽和状態にあるとされています。
ロイターによれば、中国国家統計局が10月22日発表した９月の若年層（学生を除く１６～２４歳、）の失業率は１７．６％となり、３カ月ぶりに低下しました。
食品宅配業界は携帯電話、電動自転車、簡単なモバイル操作スキルがあればよく、
参入障壁が低いため、多くの失業者が食品宅配に転向しています。
しかし、国民の消費能力は低下しており、フードデリバリーの注文数は以前ほど増加していません。
中国では、北京や上海などの8つの都市が自動運転の配車サービスの試験運用を開始、さらに多くの都市がテスト段階に入りました。
そして、40以上の都市が自動運転の管理措置と、実施の詳細を発表しており、今後、多くの都市で自動運転が導入されるでしょう。
現状を分析すると、自動運転車の導入により、中国ではさらに失業者が増加すると予想されています。
人々の暮らしを豊かにするはずだった中国の自動運転車、しかし、その裏には大きな課題が隠されていました。
自動運転車は私たちの生活を豊かにする可能性を秘めていますが、同時に多くの課題も抱えています。
自動運転車が私たちの生活に完全に溶け込む未来、それは近いのでしょうか？
それとも、まだ遠い道のりなのでしょうか？
皆さんは、自動運転車が私たちの生活をどのように変えていくと思いますか？
それではまた、次の動画でお会いしましょう！
ご視聴ありがとうございました！
コメント