【衝撃の実態】中国の自動運転システム、36台中わずか5台が障害物を認識…その深刻な課題とは?
2025年7月、中国国内の大手自動車情報サイトと国営放送局である「中国中央テレビ(CCTV)」が連携し、かつてない規模の自動運転支援システムに関する大規模な性能評価テストが実施されました。
今回の試験は、約15kmにも及ぶ高速道路と都市部の道路を実際に貸し切り、36台の主要自動車ブランドの車両が参加するという画期的な試みとして注目を集めました。参加車両には、アメリカのテスラをはじめ、中国国内で人気のHuawei(華為)、Xiaomi(小米)、そしてBYD(比亜迪)などのEVメーカーのモデルも含まれていました。
実際の事故を想定した“高リスクシナリオ”に挑む
テスト内容は、なんと15種類もの高リスクな運転シナリオを再現するというものでした。シナリオには、突如として現れる障害物、複雑な都市交差点、高速道路での危険回避などが含まれており、現実に近い状況で各車両の**自動運転支援技術(ADAS)**がどれだけ安全に対応できるかが試されました。
都市部でのテストには26台の車両が参加し、233回のシナリオテストが行われましたが、**合格率はわずか44.2%**という厳しい結果に。さらに高速道路のテストでは36台が183回のシナリオに挑みましたが、**合格したのはたったの44回、合格率は24%**にとどまりました。
イノシシの模型を「ビニール袋」と誤認識…AIの限界が露呈
とりわけ注目されたのは、道路を横断するイノシシの模型を回避できるかというテストです。ところがこの試験では、36台中、正確に対応できたのはわずか5台。その他の車両の多くは、模型を「ビニール袋」と誤認識したり、「地面の影」として処理してしまい、適切にブレーキをかけることができなかったのです。
この結果から浮かび上がるのは、単なる障害物検知だけでは不十分であり、AIには多層的な物体認識能力と、緊急時の正確な判断力が必要であるという厳しい現実です。
テスラが圧倒的な成績を記録、中国メーカーは全滅も
今回のテストで最高評価を獲得したのはテスラのモデルXとモデル3でした。特にモデルXは、都市部シナリオにおいて88.9%の合格率という驚異的な結果を記録しました。
一方で、中国の人気ブランドであるHuawei、Xiaomi、BYDなどの車両については、合格率0%という厳しい結果となる場面もありました。これは、中国製EVに対する国民の期待に警鐘を鳴らす形となり、SNS上ではさまざまな議論が巻き起こりました。
SNSでの反応とマスク氏のコメント
このテスト結果に対しては、SNS上で「中国のEVを買うのは愚か者だ」といった辛辣な意見や、「すべてのテスラは中国車のコピー製品を圧倒している」といった声が相次ぎました。
さらに、テスラのCEOイーロン・マスク氏も7月25日、自身のX(旧Twitter)アカウントでこの件に言及し、著名なEVアナリストである宗ヤーメリット氏の投稿を引用。テスラは中国国内でのデータ輸出規制の影響で、独自の学習データが使用できない状況にも関わらず、最高成績を収めたことを強調しました。
また、投稿ではテスラのカメラベースのADASが、ライダー(LiDAR)搭載型の他社製品を凌駕する性能を持っていた点についても触れられています。
反発する中国メーカー、しかし事故は現実に
一部の中国自動車メーカーからは、「閉鎖された高速道路でのテストは現実の運転環境とは異なる」といった批判も聞かれました。しかしこのテストの目的は、自動運転システムの根本的な安全性能を評価することにあり、その意義は非常に大きなものでした。
事実、中国では自動運転機能を搭載したEVによる事故が頻発しており、今年4月には高速道路でEVが給水車と衝突し、炎上。3名が命を落とすという痛ましい事故が発生しています。また、3月にも別のEVがガードレールに激突し、女子大学生3人が亡くなる事故もありました。
このような事故を受け、「本当に運転支援システムが作動していたのか?」「AIは人命を守れるのか?」といった根本的な疑問が投げかけられています。
駐車場での暴走事件、車が“自律的に”回転し続ける異常事態
さらに、7月24日には衝撃的な事件が発生。四川省の天府国際空港の駐車場において、BYD製のEVが突如制御不能となり、30~40周にわたって旋回を繰り返す動画がSNS上で拡散されました。
運転手はハンドル操作やブレーキが全く効かないと訴え、車内でひどいめまいを起こしていたと報告されています。最終的には遠隔操作でようやく車両を停止させることができ、運転手は救急搬送されましたが、幸いにもけが人はいませんでした。
しかし後日、地元警察は「運転手が乗客と連絡が取れず、苛立って自ら旋回していた」と発表。この説明に対して多くのネットユーザーは疑問を抱いており、**本当に人為的だったのか?それともAIによる暴走だったのか?**という議論が巻き起こっています。
情報統制の影と「言論封じ」の懸念
こうした事故やトラブルの多発にも関わらず、中国国内では電気自動車に関するネガティブな情報が表に出にくい状況にあります。例えば今年5月、あるBYD車のオーナーが「バッテリー残量があるのに車両が動かない」と訴える動画をSNSに投稿したところ、メーカーからの圧力を受けたと報じられました。
このような事例を受け、多くのユーザーが「メーカーが不都合な事実を隠しているのでは」と感じており、誰が本当に消費者の安全を守ってくれるのかという疑問が高まっています。
技術と宣伝の乖離、自動運転は“未完成”である現実
今回の大規模なテストと相次ぐ事故の報道から明らかになったのは、「中国製EVの自動運転技術は、いまだ発展途上にある」という厳しい事実です。広告やカタログで謳われている理想的な機能とは裏腹に、実際の運用環境では思うように機能しないケースが多々あることが分かりました。
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