河合優実さんの「魂の叫び」に視聴者が号泣——朝ドラ『あんぱん』第38回が生んだ名シーンと、その余韻を遮った“緊急速報”に怒りの声も
2025年5月21日に放送されたNHK連続テレビ小説『あんぱん』第38回。その回は、まさに朝から日本中の視聴者を涙で包み込んだ回となりました。主人公・朝田のぶ(演:今田美桜さん)の妹・蘭子を演じる河合優実さんの迫真の演技に、SNSを中心に多くの反響が寄せられました。特にラスト3分間の演技は、視聴者の心を強く揺さぶり、「河合優実劇場」「モンスターのような存在感」などと称賛の声が続出。その一方で、この名場面に水を差すような“速報テロップ”の割り込み放送が話題となり、朝ドラファンの間で大きな怒りを呼んでいます。
■「戦死は本当に“立派なこと”なのか?」と問いかけた蘭子の慟哭
この日の放送では、蘭子の婚約者である豪(演:細田佳央太さん)が戦死したという知らせが届き、その悲報に包まれる朝田家の様子が描かれました。人々が「豪は立派だった」と口々に語る中で、蘭子は言葉を発せず、ただ黙ってその場に佇み続けます。
その夜、彼女は線香の前で眠れぬまま時間を過ごし、翌日、のぶの教え子が「いつか自分もお国のために立派にご奉公したい」と語ると、耐えきれずその場を立ち去ってしまいます。
そして、豪との思い出が残る石置き場に佇んでいた蘭子のもとに、姉ののぶが駆けつけるシーンが、視聴者の心を大きく動かした名場面です。
蘭子は、「どこが立派ながで……みんなが立派やと言うたびに、うちは悔しゅうてたまらん」と涙ながらに声を震わせ、豪の死を“立派なもの”として讃える風潮に、強い違和感と怒りをあらわにしました。
その叫びは、単なる悲しみを超えて、「戦争がもたらす理不尽さ」や「人の死を美化する社会」に対する鋭い問いかけとして、多くの視聴者の胸に深く突き刺さったのです。
■河合優実さんが生み出した“異次元”の空気感
このシーンにおける河合優実さんの演技には、多くの視聴者が圧倒されました。SNS上では、
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「河合優実さんの演技力のすごさに朝から号泣」
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「河合優実劇場だった」
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「彼女だけまるで別のドラマを演じているかのような存在感」
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「坂道グループの中に突然、山口百恵が現れたような異質さ」
といった称賛のコメントが溢れ、まさに“モンスターのような存在感”との言葉がぴったりの熱演となりました。
また、今田美桜さん演じるのぶや、江口のりこさん演じる母・羽多子の演技も高く評価されており、
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「今田美桜さんの、瞬きせず涙をこぼし続ける演技も圧巻」
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「江口のりこさんのお母さん役、何も語らなくても愛が伝わってきた」
といった声も寄せられており、キャスト陣の実力の高さが改めて浮き彫りになりました。
■「豪ちゃんにもんてきてって言うたがよ」——河合優実さんが語った蘭子の内面
河合優実さんにとって、今回の『あんぱん』は朝ドラ初出演作品となりますが、すでに彼女の表現力と存在感は、ベテラン女優に並ぶほどの説得力を持っています。インタビューでは、「戦争を描く作品だからこそ、今の時代に伝えるべき意味があると思った」と語っており、ただのドラマ出演ではなく、作品全体のメッセージを深く受け止めながら演じていることが伺えます。
「命を賭して戦うことは本当に“名誉”なのか」「死んだ人を“立派”と讃えることで、私たちは何を見過ごしているのか」。そうした重いテーマを、蘭子という役を通して繊細に、そして強く描き出している河合さんの姿勢は、まさに俳優としての真骨頂と言えるでしょう。
■感動の余韻を台無しにした“速報テロップ”と「朝ドラ受け」消滅の波紋
しかしながら、この感動的な名場面に冷や水を浴びせるような出来事が放送中に起こってしまいました。蘭子が葬式の場から走り去るというクライマックスの直前、テレビ画面に「江藤拓農林水産大臣が辞任を申し出た」という速報テロップが表示されたのです。
さらに、放送終了直後にスタートする情報番組『あさイチ』でも、このニュースが番組冒頭で取り上げられたため、通常行われる“朝ドラ受け”(出演者による感想トーク)が省略されてしまいました。
この件に対し、視聴者からは怒りの声が殺到しています。
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「神回だったのに、テロップで余韻が吹き飛んだ」
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「あさイチの朝ドラ受けがなかったのが本当に残念」
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「『米は買ったことがない』って発言の失言議員のせいで、感動のクライマックスが台無し」
江藤前大臣は、数日前の講演で「米は買ったことがない」などと発言し、庶民感覚から大きくかけ離れた言動として批判を浴びていた人物。そんな彼の辞任速報が、よりによってこの名シーンに重なってしまったことで、視聴者の怒りも一層強まったのです。
■作品と演技に込められた“記憶に残る朝ドラ”という想い
河合優実さんはインタビューで「『あんぱん』も、誰かの記憶に残る作品になってほしい」と語っていました。そして、今回の第38回はまさに、その“記憶に残る瞬間”を生み出した回だったと言えるでしょう。
戦争という過去と向き合いながらも、現代に生きる私たちへ大切な問いを投げかける『あんぱん』。その中で魂を込めて蘭子という人物を生きた河合優実さんの姿に、これからも多くの人が心を動かされていくことでしょう。
一方で、報道のタイミングや番組構成については、今後より慎重な対応が求められるのではないかと思います。作品に込められた想いや、視聴者の感情を丁寧に受け止める配慮が、テレビの力をより良いものにするのではないでしょうか。
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