中国新興EVメーカー「御三家」の一角「NIOニオ」は、その高い自動運転技術や、日本円で約1000万円という車種を含む、
高価な車種ラインナップから「中国版テスラ」と呼ばれるなど、世界のEV市場において注目の存在です。
しかし、NIOは、現在、様々な問題に直面しています。
2024年11月、浙江省寧波市に住む、中国の高級EV・NIOのオーナーが、運転中にブレーキが突然故障したとする動画を投稿しました。
アクセルペダルを踏んでいないにもかかわらず、車は急加速、時速60㎞から140㎞まで速度を上げましたが、ブレーキも全く効かなかったという事です。
ドライバーは他の車を避けるため、急ハンドルを切りましたが、2台の車と衝突、
横の壁にぶつかりながら、何とか減速、幸いにも運転手は軽傷で、大きな事故は防げました。
また2024年5月、同じく、NIO・ESシックスの所有者が、地下駐車場で突然の加速とブレーキ故障により衝突事故が起きたとする動画を投稿。
動画では、車が急加速し、ドライバーが懸命にハンドルを切り、最終的に前方の車に衝突している様子が映っています。
「NIO」のSUV、ES-シックスは、約34万元(日本円で約680万円)という高級EVです。
しかし「NIO」は、事故の原因は運転手のスピードの出し過ぎと、滑りやすい路面が原因であり、
停止しなかったのは、車のアンチロックブレーキシステムが作動したためだと説明。
しかし所有者は、車が勝手に突然加速、ブレーキを踏んだにもかかわらず、ペダルは反応しなかったと反論しています。
所有者は、イベントデータレコーダーのデータで、自身がブレーキを踏んでいなかった場合、
自分が責任を負うと述べ、「NIO」に調査を依頼したとされていますが、事の顛末は不明です。
地下駐車場での、NIO・ESシックスのブレーキ故障とされる動画は、その後も中国で複数回報告されています。
2024年10月には、別の地下駐車場で、納車からわずか12日後にブレーキが故障したとする動画が拡散。
NIOのカスタマーサービスは、原因は同じく、アンチロックブレーキシステムが作動したためだと説明。
別のNIO・ESシックス・オーナーである杭州市に住む陳さんは、地下駐車場でブレーキ故障を経験、最終的に壁に衝突、車は大きな損傷を受けました。
また2024年6月には、中国の高級EVメーカー「NIO」のSUV、ES-シックスを所有する、湖南省鄭州市(かなんしょうていしゅうしのオーナーが、
運転中に、突然、車のアクセルペダルが折れたする動画をSNSで共有しました。
オーナーの女性は「アクセルペダルが、突然外れた!信じられない!」と驚きを隠せない様子です。
そして彼女は、この素材は安っぽいプラスチックだと指摘、安全上のリスクを指摘しました。
「NIO」のSUV、ES-シックスは、約34万元(日本円で約680万円)という高級EVです。
数日後、「NIO」はこの動画に対し、当社のアクセルペダルはドライバーを保護するため、
あえて特定の力で壊れるように設計されていると反論。
そして動画のES-シックスは、第三者を通じて購入された中古車であり、保険会社から全損と診断されている車だと述べました。
「NIO」はペダルの設計は国家基準に準拠していると強く主張していますが、同社が同様の苦情に直面したのは今回が初めてではありません。
2021年8月にも、NIOのオーナーが「何年も運転しているが、アクセルが折れるとは想像もしていなかった」と投稿。
その時、オーナーが、NIOのロードサービスに電話したところ、受付担当者は最初、「緩んだのですか?」と尋ねたのだそうです。
その後、オーナーが完全に折れていると伝えましたが、カスタマーサービスは、事務的にディーラーに行くよう告げたのだそうです。
そして、今年3月、ニオの新型EV「ES-エイト」を約50万元(日本円で約1000万円)で購入したという女性が、
まだ僅か1000㎞しか走っていないにもかかわらず、アクセルペダルが壊れたとSNSに動画を投稿しました。
「これは、2024年モデルのニオ・ES-8です。車両識別番号から、まだ新しいモデルであることが分かります。
まだ1000㎞しか走行していません。購入から今日で36日目、しかし実際には、20日間ほど運転しただけです。
しかし、すでにこのような深刻な問題が起きました。アクセルペダルが壊れたのです。
ガタガタと音がして、開けてみると、信じられないことにこのようなプラスチックでできていました。
まるで割り箸のように薄いです。この小さな部品が折れて、このように左右に揺れています。
誰がこんなものを使う勇気があるでしょうか?誰がこの車を運転して安全だと感じるでしょうか?
彼女は、このような乗り物で安全を感じることができるのか疑問を抱き、自分の権利を守る方法について助言を求めました。
この動画が投稿された後、中国のSNSで白熱した議論が巻き起こりました。
4月2日の未明の時点で、この動画は29000件のいいね、34000件のシェア、20000件のコメントを獲得、中国で大きな話題となりました。
ある人は「「ニオ」は、中国では高級ブランドとして知られています。しかしこれが高級車と言えるのでしょうか。」とコメント、
別の人は「こんなガラクタに50万元(日本円で約1000万円)の価値があるのだろうか?
、高価な車がこのような壊れやすい部品で作られていることに信じられない。道路で走る事さえ命がけです。」
また国産車を支持しているとする所有者に対し「愛国心には代償が伴います。」と皮肉を言う人もいました。
」という人もいました。
さらに「あなたがニオを購入しテストしてくれたおかげで、私は買わずに済みました。
これが50万元(日本円で約1000万円)なら、メルセデス、BMW、アウディが安価に感じられます。ありがとう。」と皮肉交じりに投稿。
そして中国の人たちでさえ「中国のEVがわずか数年の開発期間で、日本車や欧州の車の性能に匹敵できると信じている事に疑問に感じる。」
「中国の高級EVは、車というより、テレビ、冷蔵庫、ソファのような家電製品に近い、単なるお金持ちのおもちゃだ。」とコメントする人さえいました。
しかし、中には擁護する声もあります。彼らはプラスチック製のアクセルペダルは車業界では珍しいものではなく、多くの国で認可されていると主張。
確かに衝突の衝撃で折れるプラスチック製ペダルは、ドライバーの足の怪我を未然に防ぐことが出来るメリットがあります。
しかし、この説明に誰もが納得したわけではありません。
ある人は「確かに、認可されているかもしれません。衝突していないのにペダルが壊れるのは普通ですか?」と投稿。
別の人は「この車は、わずか1000キロで壊れた。他の車が壊れてのなら、それは言い訳にならない。
正直、ニオは、ドライバーが車を購入する前に壊れなければ、その後に何が起こるかは彼らの関心事ではないように感じる。」と述べました。
その後、ニオの所有者女性が、まずメーカーに連絡せず、動画を投稿したのか疑問視する声があがりました。
所有者はすぐに反応、前日にすでにはすでに販売店と、ニオのカスタマーサービス両方に連絡を取っていたと答えました。
彼女は、購入して間もない車が壊れたことに憤りを覚え、ユーザーの権利を守ろうと、事の顛末を正しく記録するために撮影したと述べました。
ネット上で巻き起こる数々の論争の中、翌日「NIO」は、Weiboの同社・公式アカウントで、声明を発表しました。
同社は、検査の結果、ペダルは壊れたわけではなく、単に上向きに引っ張られた力で外れているだけであり
これは通常アクセルペダルを踏むという、通常の運転時にこのような問題が発生することは断じてないと主張しました。
「NIO」は、プラスチックのアクセルペダルは、弾力性に優れ、軽量であるため、長時間の使用によるドライバーの疲労を軽減します。
その為、新しい車のほとんどが、厳しい国家安全基準を満たしたプラスチックで作られているとして安全性を強調しました。
しかし、明らかに割れた部分がビデオに残っており、プラスチックを使用していることが問題ではないにしても、簡単に折れるべきではないはずだと多くの人たちからコメントが殺到。
ある人は、テスラのプラスチックペダルと比較すると、明らかにテスラの方が「NIO」のものより頑丈に見えると述べました。
ビデオを投稿した所有者はその後、「NIO」の公式声明に応え、別のビデオを投稿。
「「NIO」の公式声明の翌日、一時的な代替車が提供されました。しかし、私の不安は解決されていません。
NIOは、私がフロアマットを交換するときに、マットがペダルに擦れたため壊れたと言うのです。
中国・国産のNIOというブランドを信頼し、50万元(日本円で約1000万円)もするES-8の新車を買ったのに、
今回の件で、その信頼は完全に崩れ去りました。もはや安心して命を預けることができない。
今回、動画をシェアしたのは、目立ちたかったからではありません。大企業から一般人が不当な扱いを避ける為です。」と語りました。
そして「NIOのアクセルペダルが壊れた」という言葉は、中国のSNSですぐに拡散、大きな議論が起こりました。
その後、業界関係者が動画でコメントを発表。
彼は「確かに現代のペダルでは、プラスチックを使用する場合があります。軽量化の他、
激しい衝突の際に、運転者の足の負傷するのを防ぐためです。
しかし、通常、折れるのは、車両の前部を押しつぶすほどの力が必要です。
折れたアクセルペダルを見ると、品質の問題である可能性が高いです。」と述べました。
SNS上では、その後も、多くの批判的なコメントが寄せられました。
ある人は「NIOは、壊れたアクセルペダルを、まるで優れた安全機能として、批判をかわそうとしている。」とコメント。
別の人は「私たちは、車とアフターサービスの為、お金を払う。NIOは、自分たちを守る事しか考えていない、
言い訳をする代わりに、問題の解決に焦点を当ててみませんか?」と怒りを込めて述べました。
役に立たないのは単なるゴミだ。」と痛烈に批判しました。
品質問題の他、世間の注目を集めているNIOの新たな問題は、同社の差し迫った倒産の噂が根強く残っていることです。
ネット上でNIOは、たびたび経営問題を話題にされても、最高経営責任者ウィリアム・リー氏はこれまでは受け流してきました。
ところが2024年8月、インターネットで「NIOが破産宣告をした」と偽の情報を流されると、すかさず警察に通報。
しかしリー氏の「本気の対応」が、逆に経営破綻時期の予想合戦が始まるなど、新たな風説を呼び込んでいます。
実際、NIOは過去8年間で860億元(日本円で約1兆8千億円)もの損失を出しています。
つまり、同社は車を1台売るごとに、8.8万~11万元(約190万~240万円)もの損失を出している事実が、悪い噂を招く下地になっている事が原因のようです。
これらの倒産の噂を最も心配しているのは、もちろんNIOの車の所有者です。
結局のところ、会社が閉鎖された場合、車のアフターサービスが大きな問題になるのは明らかです。
EVで世界をけん引する中国ですが、いまや倒産や撤退するメーカーが続出しています。
そして、度重なるブレーキ不良やアクセルペダルの破損、そして隠蔽と責任転嫁。
NIOに限らず、近年の中国EV全体に対する不安の声は、もはや無視できません。
あなたは中国製EVに安心して乗れますか?
「安さ」や「技術革新」の裏に、命を危険にさらすリスクはないのでしょうか?
最後に、この記事を読んでくださった方々に感謝申し上げます。
また次回の記事でお会いしましょう!
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