トヨタの欧州法人は、2025年9月24日にポーランド・カトヴィツェで開催された「ニューモビリティ会議」において、新型となる**「アーバンクルーザー」**を現地で初公開いたしました。
この新型モデルは、欧州市場で実に11年ぶりにその名称が復活したコンパクトな電動SUV(BEV:バッテリーEV=電気自動車)として、大きな注目を集めています。都市部での使いやすさと、SUVらしい力強さを兼ね備えた戦略的なモデルの登場です。
トヨタの次世代BEVラインナップが一堂に会する
今回の「ニューモビリティ会議」では、新型「C-HR+」や「bZ4X」、「bZ4Xツーリング」といったモデルに加え、この新型「アーバンクルーザー」を含む、トヨタの次世代BEVの主要4車種が一挙に披露されました。これは、トヨタが欧州市場における電動化戦略を本格的に加速させる意思を示すものと言えます。
「アーバンクルーザー」の名称は、かつて2009年から2014年頃まで欧州市場で販売されていたBセグメントSUVモデルに使用されていましたが、このたびの新型モデルで、完全電動SUVとして華麗な復活を果たしました。
ボディサイズと実用性:ヤリスクロスを凌ぐ室内空間
新型「アーバンクルーザー」のボディサイズは、全長4,285mm×全幅1,800mm×全高1,640mmとなっており、日本国内でも高い人気を誇る「ヤリスクロス」と比較して、ひと回り大きな設計となっています。
コンパクトな外寸でありながら、開発陣は特に後席の快適性を重視して設計を進めており、広々とした室内空間を確保している点が大きな特徴です。
エクステリアデザインは、ワイドなスタンスと、やや高めに設定された最低地上高によって、コンパクトSUVでありながらタフで力強い印象を演出しています。さらに、前後には樹脂製のガード類が装着され、本格的なSUVらしさが強調されています。
インテリアにおいても、実用性と柔軟性が追求されています。後席には40:20:40分割可倒式シート(一部グレードではスライド機構付き)が採用されました。限られたボディサイズでありながらも、多彩なシートアレンジを可能にすることで、乗車人数や荷物の量に応じて荷室空間を柔軟に拡張できる高い実用性を備えています。
多様な走行ニーズに応えるパワートレインと駆動方式
新型「アーバンクルーザー」は、ユーザーの多様な走行ニーズに対応するため、豊富なパワートレインの選択肢を用意しています。
【バッテリーとモーター】
バッテリー容量は、49kWhと61kWhの2種類のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが設定されています。モーターは、最高出力144馬力から184馬力までの3種類が用意され、力強い電動走行を可能にします。
【駆動方式と走破性】
駆動方式は、FWD(前輪駆動)モデルに加え、SUVとして重要な本格的な4WDモデルも選択可能です。
この4WDモデルには、下り坂での安定走行をサポートするダウンヒルアシストコントロールに加え、悪路での走破性を高める「トレイルモード」が用意されています。トレイルモードでは、空転する車輪を検知して適切にブレーキをかけ、反対側の車輪に駆動トルクを送り込むことで、滑りやすい路面や起伏のある場所でも、SUVらしい優れた走破性を発揮します。
トヨタの電動化戦略における重要な役割
「アーバンクルーザー」は、トヨタが欧州で展開する新しい電動SUVラインナップの中でも、最も小型なモデルとして位置づけられています。これは、激戦区であるB-SUV(コンパクトSUV)市場におけるトヨタの存在感を担う、極めて戦略的なモデルであると言えます。
欧州トヨタは、2026年までにポーランド市場で乗用車・商用車を合わせて10車種のBEVを展開する計画を掲げており、この新型「アーバンクルーザー」がその電動化戦略において、重要な役割を果たすことになるのは間違いありません。
都市部での高い利便性と、BEVならではの静かで力強い走り、そしてSUVらしい走破性を兼ね備えた新型「アーバンクルーザー」は、欧州のコンパクト電動SUV市場に新たな選択肢を提示するでしょう。
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