中国のEVメーカーは、自動運転や自動駐車などのシステムに注力、これらをセールスポイントとして掲げ、
その機能をCMなどで大々的に宣伝、多くの消費者はこれらのシステムが十分に開発されていると信じています。
その結果、一部のドライバーは、複雑な状況を車が単独で処理できると想定、ハンドルを握っているときに警戒を緩めています。
10月19日、杭州市(こうしゅうしのワンさんは、購入したばかりのシャオミ・SU-7で、
高速道路を、同社自慢の自動運転支援システムで走行中、深刻な事故に遭遇しました。
購入してまだ1か月も経っていない、彼のシャオミ・SU-7は、ガードレールに突っ込み、
左の前輪が外れ、左後輪がパンクし、すべてのエアバッグが展開して車体に大きな損傷が発生しました。
ドライバーのワンさんは、シャオミが自慢する運転支援システムを試してみたかったのだと言います。
「料金所を通過した後、「シャオミ・パイロット」をアクティブ化しました。
しかし、車がガードレールに近づいても、ハンドルを切ったりブレーキをかけたりする兆候は見られませんでした。
私が慌てて自分で、ブレーキを踏んだときには、すでに遅すぎました。」と述べています。
5月17日、シャオミ・SU-7に乗るドライバーが高速道路で、自動運転機能を起動。
しかし突然、横から飛び出してきたテスラ車に、SU-7のオートパイロット機能は反応が間に合わずに追突しました。
シャオミはその後、ドライブレコーダーに、詳しい状況が保存されておらず、原因を特定できないと主張しました。
5月8日には、湖南省 (こなんしょうのドライバーが乗るSU-7が駐車中に、自動ブレーキが故障。
シャオミは後にソフトウェアの問題を原因としましたが、それ以上の説明はしませんでした。
また広東省仏山市(ぶつざん-しのドライバーも、SU-7のシステム故障を報告。
左から車が車線変更し、前方に迫ってきているにもかかわらず、車は減速せず、逆に加速しました。
中国でこのような課題に直面しているのは、シャオミだけではありません。
理想汽車(リ・オート、AITO(アイト、小鵬汽車(シャオペンなどの、中国の主要ブランドはいずれも、
オートパイロットや、自動駐車システムなどの機能を標準装備していますが、
突然のシステムバグにより、インテリジェント運転の安全性について国民全体の懸念が高まっています。
2022年8月「テスラ・モデル3」キラーと話題になった、XpengのEV(シャオペン:小鵬汽車)P7が時速80キロで高速道路を走行中、寧波市 (ねいはしの高架上で停止中の車両と衝突、尊い人命が失われました。
衝撃で駐車中の車両の後部が破壊され、路上検査員が致命傷を負った。
P7は当時、自動運転機能を使用、システムは停止中の車両を検出できず、ドライバーが慌ててブレーキを踏みましたが間に合いませんでした。
今年4月、高速道路でリーオート・L9が関与した奇妙な事件が、多くのオンラインユーザーを困惑させました。
車は看板に表示された小型トラックの画像を実際の車両と誤認、緊急ブレーキを作動させたため、後ろから追突されました。
SNSで動画を共有した、湖北省・襄陽市(じょうよう-し)に住む、リ・オート・L9・Proのオーナーによると、事故は車のオートパイロット機能が作動中に発生。
幸いけが人はいませんでしたが、地元警察は、緊急ブレーキシステムを作動させた、L9の所有者が衝突の全責任を負っているとの判断を下しました。
リ・オート・L9のドライバーは事故は自分のミスによるものではないと主張、製造元のリ・オートに対し、
20000元(日本円で約42万円)を要求しました。
しかしリ・オート側は、4000元(日本円で約84000円)しか払えないと提示、この紛争は未解決のままです。
最近、「シャオミSU7のパーキングアシストが1日で70台以上の事故を引き起こした」というニュースが、多くのメディアで注目を集め、議論を呼んでいます。
これはシャオミSU7が市場に登場して以来、初めて発生した「同時多発事故」です。
一体何が起こったのでしょうか?
シャオミSU7の複数の事故は、11月14日の正午から11月15日の早朝までの間に発生しました。
集計によれば、少なくとも70台以上のシャオミSU7ベーシック版ユーザーが、
パーキングアシスト機能の異常により衝突や擦り傷を経験したとされています。
この日は、シャオミがパーキングアシスト機能のアップデートを発表してからわずか半月後にあたります。
多くのユーザーがシャオミSU7ベーシック版で、パーキングアシスト機能に異常が発生、軽度から中度の衝突や擦り傷が生じたと報告しました。
また、一部のユーザーは他の車両と接触事故を起こすに至りました。
影響を受けた1人は、成都市 (せいと-しの女性ドライバー、ジョジョさんです。
彼女はシャオミSU-セブン スタンダード・エディションを、わずか4日前に購入、
11月14日の午後、自宅のパーキングに駐車するため自動駐車機能を起動しました。
表示されたディスプレイには、車は近くの柱を検出しているようでしたが、停止せずそのまま柱に衝突。
テールライトが割れ、車の後部は酷く破損しました。
ジョジョさんは、SU-セブンのレーダーが後方衝突の警告を鳴らさなかったため、いつブレーキをかけるべきかわからなかったと述べました。
彼女は「私は自動駐車機能を使用していました。車は物体に非常に近かったのですが、警告音は鳴りませんでした。結局、柱に衝突しました。
シャオミに連絡すると、その日のうちにカスタマーサービスから電話があり、システムの不具合だと確認してくれました。
シャオミは修理は無料であり、修理期間中は1日あたり1500ポイント、金額に直すと150元(日本円で約3000円)を支払うと約束してくれました。
どうやら、この問題はスタンダード・エディションでのみ発生しており、他のバージョンには発生しないようです。」と述べています。
またあるユーザーは、4月に納車されて以来、固定された駐車スペースで100回以上この機能を使用、
アップデート後もその場所で10回以上問題なく使用しましたが、14日に突然問題が発生。
そのユーザーも「駐車中にそのまま柱に激突、警告音も鳴らなかった」と語っています。
シャオミの全車種には、エンドツーエンドモデルに基づくパーキングアシスト機能が搭載、
同社では、最大時速23kmで地下駐車場を巡回することが可能だとしています。
駐車場内の車線や障害物を正確に認識、障害物の回避や後退による回避も行います。
この機能は車載チップで全ての計算を処理するため、ネットワーク信号を必要としません。
10月30日、シャオミ自動車はパーキングアシスト機能を1.4.0バージョンにアップデートしたと発表しましたが、その半月後にこのような事故が多発。
ユーザーからの苦情に対し、シャオミは「システムのバグが原因で、パーキングアシスト機能に異常が発生した」と説明。
同時に修理費用を負担し、異なる量のシャオミポイントで補償する意向を示しました。
しかし、一部のユーザーはこの解決策に満足していないとしています。
オーナーたちは、シャオミSU-セブン スタンダード・エディション インシデント オーナー グループと名付けたオンライン グループを結成、
このグループは、わずか1日で246人ものメンバーのグループに成長しました。
この不具合で他の車を巻き込む事故となった、SU-セブンのオーナーのひとりは、シャオミから高額の補償を提案されました。
それは無償の修理が終わるまで、1日あたり10000ポイント、金額に直すと1000元(日本円で約21000円)を受け取るものでした。
しかし中には、補償を断られたオーナーもいました。
北京のSU-セブン オーナー、スンさんは、ソーシャルメディアで自分の体験を共有。
11月14日の夕方、彼は地下駐車場に駐車しようと自動駐車機能を起動、最初は正常に見えましたが、その後、車の後部が突然柱に衝突しました。
やはり衝突前、レーダーは障害物を検知せず、衝突警告アラームも鳴りませんでした。
しかも衝突後、自動駐車システムは作動し続け、車は動き続けたため、後部に変形や摩耗などの重大な損傷が発生しました。
事故後、スンさんはすぐにシャオミのカスタマーサービスに連絡、しかし、シャオミは修理費を、スンさんの保険で賄うようにと告げました。
翌朝、スンさんは再度シャオミに連絡、データ分析のために自分の車をシャオミのサービスセンターに持ち込みました。
その後、シャオミはスンさんに連絡、すべての修理費用を全額負担することに同意、さらに補償金払うと申し出てくれました。
6日後の11月20日、スンさんは修理後の車を受け取りましたが、その内容に満足できませんでした。
車の損傷はかなり深刻で、スンさんは修理した車は、中古市場で価値が下がると指摘、
シャオミポイントで、8000元(日本円で約168000円)相当の補償を求めましたが、
シャオミは、修理費と、交通費補助金以上の補償はできない述べました。
ソンさんを含め、補償に納得できない一部のオーナーたちは、今後も補償を求めていく考えだという事です。
シャオミ初の自動車である、シャオミSU7は、発売後に非常に高い人気を博し、9月30日までにSU7シリーズは67157台が販売されました。
シャオミは2024年に年間13万台の販売目標を達成するため、全力を尽くすとしています。
しかし、最も基本的な自動駐車機能でさえ、安全性と信頼性を確保できないのに、
どうして、シャオミの自動運転機能を信頼できるのかと、疑問視する声が上がっています。
またコメントの中には、シャオミの有名なスマートフォンのバグが、今度は彼らの作った車にまで及んでいると冗談を言う人もいます。
幸い、この自動駐車システムの不具合での負傷者は今のところ出ていません。
しかし、人々は次にどこが故障するかを心配しています。
問題が自動駐車ではなく、シャオミが自慢する運転支援のような、より重要なシステムにあったらどうなるでしょう。
シャオミのCEO、ライ・グン氏はかつて、同社のパーキングアシスト機能を業界最高と呼んでいました。
ライ氏によると、シャオミのパーキングアシスト機能は、ドライバーに大きな利便性を提供、立体駐車場など複雑な駐車さえ可能だと言います。
現在、自動運転化技術は自動車メーカー間の重要な競争分野となっており、多くの企業は、新型車の発売時に高度な運転機能を大々的に宣伝しています。
特に中国では、自動運転化技術について言及しないと、メーカーが時代遅れに見えてしまうほどです。
シャオミSU-7の自動駐車システムに関連する、多くの事故が発生したにもかかわらず、
ライ・グン氏は、シャオミの重要な機能としてインテリジェント運転を強調し続けています。
11月18日、2024年・広州国際モーターショーで、ライ氏はいくつかの印象的な統計を公開しました。
彼は、シャオミの自動運転システムを、使用しているドライバー比率は85%を超えており、
すでに8000万キロ以上の走行に使用、そのうち82.4%は実際にオートパイロットを使用し走行していると述べました。
現在、多くの自動車メーカーが自動運転などの機能に注力、セールスポイントとして掲げています。
これらの機能は確かに消費者にとって便利であり、運転体験を向上させるものです。
しかし、今回の同時多発事故から見ると、パーキングアシストといった古くから開発された技術でも、
依然として大きなリスクが潜んでいることが、浮き彫りになりました。
この動画を見て、自動運転技術の安全性に対する不安を感じた方も多いのではないでしょうか?
しかし、自動運転技術は私たちの生活を大きく変える可能性を秘めています。
この技術が安全かつ安心して利用できるようになるためには、メーカー、政府、そして私たち一人ひとりの意識改革が不可欠です。
あなたは、安全な自動運転社会の実現のために、どのようなことが必要だと思いますか?
最後に、この記事を読んでくださった方々に感謝申し上げます。
また次回の記事でお会いしましょう!
コメント