7月24日正午頃、中国・杭州市(こうしゅうしで、アークフォックス社の高級EV、アルファーSが、路上で炎上しました。
アークフォックスは、中国の自動車大手、北汽集団(ほくきしゅうだん)傘下のEVメーカー「北汽・新エネルギー自動車」が、
通信機器最大手のファーウェイとの業務提携で立ち上げた、高級EVの新ブランド車になります。
突然の出火に驚いた車の所有者は、安全な場所に車を止め、急いで地元の消防署に火災連絡を行いました。
その後、すぐに到着した消防士たちの迅速な消火活動により、幸い炎は、車が全焼する前に消し止めることが出来ました。
その後、車の所有者は、アークフォックスのカスタマーサービスへ連絡「アークフォックス・アルファーS」が、運転中に自然発火したと連絡しました。
しかし、しばらくして駆け付けた、アークフォックスのスタッフ達の行動は、目を疑うものでした。
スタッフたちは、すぐに車を黒い布で覆い隠し、その後、彼らは、所有者の同意なしに、
ドライバーとハンマーを使い車のロゴやエンブレムを取り外し始めたのです。
しかもスタッフ達は、躊躇することなく、強引にハンマーとドライバーでエンブレムの隙間を叩きつけ、
結果的に、すべての車のロゴを取り外しました。
他社のデザインを模倣し、オリジナリティのない中国のほとんどの車は、エンブレムやロゴを外せば、
どこのメーカーの車か分からず、
スタッフたちは、それを十分に分かって、火災事故が多くの人々の目に留まらぬよう、隠ぺいしようとした可能性が疑われます。
この不可解な行動に怒った所有者は、すぐに地元警察に通報、この一部始終の動画をSNSに投稿しました。
この事件は、中国国内でも注目を集め、動画は急速に拡散され、何百万人もの人々の怒りを誘うことになりました。
そして、アークフォックス社のスタッフの行動をめぐって、国内で大きな論争が巻き起こりました。
動画を見た人の中には、よく見るとスタッフたちは、自分たちの身元を隠すために制服を裏返しに着用し、
事故内容を隠ぺいするために、車を黒い布で覆っており、明らかに隠ぺいしようとしていると非難しました。
メーカーのスタッフは、アークフォックス・アルファーSの、ボンネットはもちろん、
車体後部の文字、さらにはタイヤのロゴやなど、すべての車のロゴを取り外しました。
車の所有者は、彼らはロゴを外した後、その上に証拠を隠すようにテープさえ貼っていったと言います。
しかし、メーカーのカスタマーサービスにこの動画を見せても、担当者は、私たちのアークフォックスであったかどうかは確認できませんと言ったそうです。
車の所有者はメディアの取材に対し、私は再度、メーカーの責任者にこの件を適切に処理してくれるように手配したと語っています。
アークフォックス社のこの行動を見た、世間の人々は、これが彼らの作ったEVの初めての火災ではないのではないかと疑いました。
アークフォックス社は、同社のEVは、今まで自然発火率がゼロであることをセールスポイントとして強調、
120を超える厳格なテストを受け、出荷していると主張しています。
所有者が投稿したSNSには、その後もコメントが殺到しました。
その中には「アークフォックス社の車は、実はロールスロイスのように、エンブレムを火災時、一瞬にして引っ込め、他社のエンブレムが出てくる仕様にしているのではないか。」、
「ロゴは自動車会社の魂を表しています。アークフォックスの従業員はひるむことなく炎に立ち向かい、ロゴを救出したのだ。」などスタッフの行動を皮肉る声も上がりました。
火災事故から翌日の7月25日、アークフォックス社はコメントを発表、火災の原因は車両のバッテリーパックとは無関係であると話しました。
また、スタッフたちの行動は明らかに不適切で、多くの方々に不快な思いをさせたと、メディアプラットフォームを通じ経営陣が謝罪しました。
しかし、この謝罪は世間の疑念を鎮めることは当然できず、車両火災にバッテリーの安全性の問題が関係しているかどうかについての議論はいまだ続いています。
アークフォックス社のEVが火災を起こしたのは、一体何が原因だったのでしょう?
同社は、車のバッテリー自体は、無傷であるとだけ簡単に説明しました。それだけで十分であるはずがありません。
たとえバッテリーパックが燃えていなかったとしても、他の部品が原因で車両火災が発生したことは、一般ユーザーの疑念を晴らすことは出来ません。
事件後、アークフォックス社の公式ストアは、ユーザーからのコメント機能を無効にしています。
問題をはぐらかす、中国で一般的なこのアプローチは、状況をさらに厄介なものにするだけです。
火災が発生したEVは、2021年4月に発売、中型から大型の純電気自動車として位置付けられている、アークフォックス・アルファー・Sです。
中国での価格帯は、251000元から314500元(日本円で約530万円から約660万円)で、
上級グレード「ファーウェイ・インサイド・バージョン」は、329800元(日本円で約693万)になります。
2017年9月、通信機器最大手メーカーである、アークフォックスはファーウェイと戦略協力協定を締結、
技術研究開発、製品イノベーション、インテリジェント変革で協力することになりました。
アークフォックスは2024年4月、ファーウェイが開発したOSを搭載した最初の量産モデルである新型EV、
「アークフォックス・アルファーS・ファーウェイ・バージョン」を発売しました。
ファーウェイ・バージョンのアークフォックスは、基本版とハイグレード版の2車種があり、
メーカー希望販売価格はそれぞれ38万8900元(日本円で約817万円)と42万9900元(日本円で約906万円)で、年末には中国でデリバリー開始予定です。
ファーウェイのスマート自動車ソリューション事業の、トップを務める王 軍(おうぐん)氏は、
メディアの取材に応じ「基本版は高速道路における自動運転が可能、ハイグレード版はさらに都市部の一般道での自動運転が可能だ」と語っています。
北汽・新エネルギー自動車はファーウェイ・バージョンの「アークフォックス」ブランドで失地回復を図りたい考えです。
しかしロゴを剥がした事件は、中国国民の反応を見ると、間違いなくアークフォックスの評判にも影響を与えるでしょう。
長い間、電気自動車の最も批判されてきた側面は、安全性の面での不安定さ、特に頻繁な自然発火事故です。
バッテリーは、ほとんどが車のシャーシに配置されており、傷や衝撃を受けやすい場所であることはよく知られています。
バッテリーは衝撃を受けると熱暴走を引き起こし、異常な過熱や発火につながります。
ガソリンも可燃性ですが、燃料タンクの位置は慎重に検討されており、その容積と接触面積はバッテリーパック全体よりもはるかに小さくなっています。
燃料漏れや電気的ショートがない限り、一般的に安全です。しかし、電気自動車のバッテリーはまったく異なります。
電気的ショートにも、高温、衝突、さらにはバッテリーの内部反応によっても火災が発生する可能性があります。
また、バッテリーは害を及ぼす可能性のある有毒物質を放出、消化後も再燃する可能性があります。
自然発火した電気自動車の中には、消火から5〜6日後に再発火したものもあります。
さらに、電気自動車の救助プロセスは、電気機器が多いため、ガソリン車よりも困難です。
つまり、水などの液体を使用して消火すると、さらに漏電が発生、火災の可能性が高くなります。
アークフォックスを含む多くの自動車会社は、バッテリーが自然発火または爆発しないと主張していますが、
実際の道路条件は彼らの実験室よりも過酷です。
電気自動車が自然発火する事件は珍しくなく、最近だけでもいくつかの発覚した事例があります。
中国が発表した統計によると、2023年第1四半期だけで新エネルギー車の自然発火率は32%増加、自然発火事故を含む火災は、中国で1日平均8件発生しています。
中国自動車メーカーの「ビッグ5」、長安汽車ちょうきしゃの朱華容 しゅ かよう会長は、今年初めの会議で業界の問題についてふれ、
自動車業界の非倫理的な競争、粗雑な製造、全体的な技術と管理レベルの低さ、虚偽の広告について苦言を述べました。
中国の多くの自動車メーカーは、消費者を欺くだけでなく、ビジネス倫理にも違反しています。
また朱会長は、2年以内に自動車産業の構造が大きく変化すると予測。
「中国国内の新エネルギー車の生産は1000万台に近づき、普及率は35%を超えています。
しかし、業界全体としてはコストが高く、赤字が深刻であり、70を超える中国の乗用車ブランドのうち、
利益を上げているのはわずか4、5ブランドで、
『金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏に』というマタイ効果が高まっている。」と指摘しました。
アークフォックス社の事件は、中国のEV業界の安全性や透明性に対する疑問を再び浮き彫りにしました。
同社はこの問題に対して、今後どのような対策を講じるのでしょうか?
あなたは中国の電気自動車業界、そして日本の電気自動車業界の未来をどう見ていますか?
それではまた、次の動画でお会いしましょう!
ご視聴ありがとうございました!
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