中国の若者を襲う“就職氷河期”の現実──高学歴が未来を保証しない時代へ
皆さま、こんにちは。
本日は、現代中国において深刻化している若者の就職難の現状について、具体的なエピソードを交えながら詳しくご紹介してまいります。かつて「高学歴」は安定した生活、豊かな未来への切符だと信じられていました。しかし、いまその常識が大きく揺らぎ始めているのです。
博士課程修了でも“現実”は厳しかった――高学歴女性の苦悩
ある女性がこのように語っています。
「一体誰が“有名大学の卒業生は良い仕事に就ける”と保証したのでしょうか?」
彼女は、30歳にして博士課程を修了した中国の高学歴女性。4年半という長い年月をかけて、名門・石大学の人文科学系博士号を取得しました。しかし、その輝かしい学歴にもかかわらず、彼女が直面したのはあまりにも過酷で現実離れした就職活動でした。
学生時代には応募対象と考えていた企業が、今では彼女の履歴書すら受け取ってくれません。中国国内の大手IT企業での実習経験もあるにもかかわらず、彼女は「学歴が高すぎる」ことを理由に書類審査の段階で落とされてしまい、面接の機会すら与えられなかったのです。
中小企業は「高学歴すぎて扱いにくい」と敬遠し、大企業は「コストパフォーマンスが悪い」と採用を見送る。まさに高学歴が“足かせ”になるという皮肉な現実がそこにあります。
彼女は今の就職市場についてこう述べます。
「名門大学の博士号であっても、今やその価値はごくわずかな利点に過ぎません。学位が必ずしも満足のいく仕事を保証してくれる時代は、もはや終わったのかもしれません」
内定を得るまで70通以上の履歴書を送った女性の奮闘
この現象は、博士号取得者だけに限られた問題ではありません。
2025年に大学を卒業予定のある女性は、就職活動の厳しさを次のように訴えています。彼女は、2024年9月から約70〜80社に履歴書を送付しましたが、ようやく最初の内定を得たのは年末の12月。大手企業でのインターン経験もあるにもかかわらず、希望する職種では採用に至らず、最終的にはオペレーション職で内定を得る結果となりました。
彼女にとって、想像していたキャリアと現実のギャップはあまりにも大きなものでした。
哲学・社会学の学生が“人生相談サービス”で副業を始めるも…
就職難が深刻化する中、中国の若者たちは生き延びるためにユニークな方法で収入を得ようと工夫を凝らしています。
ある大学院生は、哲学専攻の友人が「人生の意味について答えるチャットサービス」を66元(日本円で約1400円)で提供している姿に触発され、自らも社会学の専門知識を活かした有料チャット相談サービスを立ち上げました。
しかし、彼の試みに対してネット上では批判の声も上がりました。家族が彼の教育に投じた高額な費用と、1回の相談で得られる報酬がわずか3元(約64円)という現実とのギャップが“努力と見合っていない”と捉えられたのです。
オックスフォード卒でフードデリバリー配達員に──衝撃のキャリア転換
さらなる衝撃を与えたのは、中国で“最も教育を受けた配達員”と称された人物の存在です。
彼の名前はディン・アンジャ氏。彼は成下大学、北京大学、そしてイギリスの名門・オックスフォード大学で学位を取得した、まさに中国教育界のトップエリートです。
しかし、彼はシンガポールの大学での職務契約が終了した後、帰国してなんとフードデリバリー配達員として働く道を選びました。
「試験の点数だけが人生のすべてではない」と語る彼のメッセージは、多くの若者たちに勇気を与える一方で、現実の厳しさも浮き彫りにしました。
ハウスキーパーやベビーシッターに転身する高学歴者たち
こうした就職難の影響で、今では配達員、警備員、ベビーシッター、さらには屋台の出店など、高学歴者が意外な職に就くケースが増えています。
北京や深圳におけるハウスキーパーの月収は平均7354元(日本円で約15万7000円)を超えており、安定した収入源として注目されています。
南海の家事代行会社では、成下大学などトップ大学出身者がベビーシッターとして採用されており、なんとスタッフの約2割が高学歴者だといいます。
また、歴史ある名門校・修大学で哲学を学ぶ博士課程の学生が、屋台で焼きソーセージを販売している様子がSNSで話題になるなど、現代中国の若者が抱える厳しい現実が浮き彫りとなっています。
若者のメンタルヘルスにも深刻な影響が…
このような厳しい状況は、若者たちの精神的な健康にも大きな影響を及ぼしています。
ある農業大学の大学院修了生が運営するチャットルームには、
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「なぜ恋人ができないのか」
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「大学生活に疲れた」
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「将来に不安を感じる」
といった、悩みや葛藤の声が日々寄せられているといいます。
中国国家が発表した「メンタルヘルス報告書」では、大学生の約21.5%がうつ病の兆候を示し、45%が不安リスクに直面しているとされています。進学、公務員試験、結婚、育児、さらには35歳を過ぎると就職が極端に難しくなる「35歳問題」など、あらゆる社会的プレッシャーが若者たちを追い詰めているのです。
経済的停滞とストレス──“パジャマで踊る若者”の真意
昨年の祝日には、観光地でストライプ柄のパジャマを着て踊る若者たちの動画がSNS上で拡散されました。まるで入院患者のような格好をして楽しそうに踊るその姿は、強いストレスの解放を求める若者たちの心情の表れでした。
このパジャマは通販サイトでも大人気となり、心理的ストレスを和らげる「癒やしアイテム」として定着しました。ロックダウン時に「神製の犬」を飼うブームが起きたように、心のケアは今や中国社会において深刻な課題となっているのです。
結びにかえて:未来に希望を見出すには
このように、中国の若者たちは、いま高学歴が必ずしも成功や安定を約束してくれる時代ではないという、非常に厳しい現実に直面しています。そして、それは同時にメンタルヘルスへの深刻な影響という新たな問題も引き起こしています。
私たちはこの現状をどのように受け止めるべきでしょうか?未来を担う若者たちが、学びの成果を社会で十分に発揮できる仕組みの構築が、いま強く求められています。
あなたは、この問題についてどうお感じになりますか?ぜひ、コメント欄にて率直なご意見やご感想をお寄せください。
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