8月17日、中国・遼寧省 (りょうねいしょう鞍山市(あんざん-しの道路で、突然道路で爆発が発生、
その瞬間を車のドライブレコーダーが捉えました。
ネット上に投稿された動画には、複数の車が走行中に同時に複数の爆発が起き、煙があっという間に車を覆った様子が映っていました。
爆発後、地元当局が現場に駆けつけ、マンホールの蓋が空中に吹き飛ばされ、地面が陥没して大きな穴が開いていることが分かりました。
その後、応急管理局が声明を発表。
8月17日午前10時34分、鞍山市の交差点付近で爆発が発生、死傷者は報告されておらず、爆発の原因は現在調査中と述べました。
しかし現在まで、当局による詳しい説明はありません。
マンホールの蓋が数枚吹き飛び、道路が深刻な被害を受け、映像を見た専門家は、まるで戦場にいるようだと感想を述べました。
その後ネット上では、道路下にあるガスパイプラインが爆発したのではないかという憶測が飛び交いました。
爆発現場近くで自動車、ボディ、塗装の店を経営する劉(りゅう)さんは、この事件を目撃しました。
彼女の店は、爆発が起こった場所からわずか数メートルの先の交差点にあります。
劉(りゅう)さんは、店の入り口に立って知人と話していました、そして突然破片が空中に舞い上がり、頭に当たりました。
彼女は最初に店内にいる自分の子供のことを心配し、すぐに駆け込んで確認しました。幸いなことに、子供は無傷でした。
そしてすぐに鞍山市の消防救助局に連絡しました。
地元メディアの記者は当局に連絡、事故の詳細を訪ねました。しかしスタッフは、現時点で爆発の原因を明らかにする事は出来ないと言ったそうです。
記者は、中国資源ガス会社の24時間対応のカスタマーサービスにも電話しましたが回答は得られません。
ようやく同社は声明を発表。
事故現場付近のガスパイプラインの圧力低下については、現在修復工事が行われており、すぐにガス供給が再開される見込みだとだけ述べました。
同日、記者は鞍山市政府当局にも連絡を取り、専門の担当者が問題に対処しており、調査後に公式声明が発表されることを確認しました。
この公式回答は、ネット上で大きな議論を巻き起こしました。
「公表するのが不都合なのはどういうこと?真実を語ればいい。国民には知る権利と、命を守る権利がある。」
といったコメントが寄せられました。
中国では地下パイプラインからガスが漏れるだけでなく、メタンガスの蓄積により、道路が爆発したり、マンホールが吹き飛ばされる映像が多く拡散されています。
小規模な爆発ではマンホールの蓋が吹き飛ぶだけですが、大規模な爆発では道路が引き裂かれる恐れさえあります。
専門家は今年の夏の猛暑で、道路温度が上昇、ガスパイプラインへの圧力が高まり爆発を引き起こした事、
また、パイプラインの深さが基準を満たしていなかった可能性があると述べました。
鞍山市のある住民は次のようにコメントしました。
「私たちは、ガスを2年間も使えません。ガス会社に報告しても、パイプの交換費用を自分で払わなければなりません。
2メートルで500元(日本円で約1万円)です。ここには月給が2500元(日本円で約5万円)で修理費を払う余裕がない人が多くおり、
見よう見まねで、勝手に自分たちで修理を行う人もいます。」と述べました。
中国ではガス爆発が頻繁に発生しており、数日おきにニュースで報道されています。
2024年6月22日、中国・吉林省(きつりんしょうにある中古車販売店の隣の道路で爆発が起こり、恐ろしい光景が広がりました。
販売店スタッフによる目撃情報によると、爆発は開店直後の午前8時15分ごろだったと言います。
スタッフは「爆竹のような音で、心底驚いた。外に駆け出すと、爆発後にキノコ雲のように濃い煙が地面から上がっているのが見えました。
まるで戦争映画のようで、信じがたい恐ろしい光景だった。」と述べました。
販売店は大きな損失を被りました。オーナーは、トヨタ・プラド一列が大きな損傷を受けたと語りました。
一部の車はフロントガラスが割れ、他の車はドアが完全に変形しています。
事故後、地元当局の緊急チームが現場に急行、道路の修復が行われていることを確認しました。
地元当局のスタッフは、ガスと水道の両方のパイプラインが道路の下を通っていたが、
爆発がガス管または水道管の漏れによるものかどうかは、不明であるとだけ述べました。
道路が割れて多数の車両が破壊された動画は、多くの人々に衝撃を与え、すぐにネット上で拡散されました。
ソーシャルメディア上では、「損傷したすべての車両をどのように補償するのか?
中国ではガス爆発は毎日起り、あまりにも危険です。」など多くのコメントで溢れました。
2023年8月31日、広東省東莞市 (とうかん-し、多くの車両が駐車していた交差点付近で爆発が発生。
突然、車の横の地面が爆発、濃い煙が空中に噴き出しました。
地元政府は、爆発は地下のケーブルに原因があるとだけ述べました。
2023年8月8日、山東省(さんとうしょうの住民が自転車に乗って道路を走行中、2つのマンホールが突然爆発。
大きな音が鳴り、炎と濃い煙が噴き出し、人々は恐怖に駆られて逃げ惑いました。
地元の都市管理当局は、爆発は地中の高圧線のショートによって引き起こされたと述べました。
2022年6月26日、河北省南部の邢台市(けいだい-し)で、地面が爆発、マンホールの蓋が突然吹き飛びました。
爆発後、炎が一瞬、燃え上がり、通りかかった清掃作業員が軽傷を受けました。
このような爆発は、中国各地の道路で頻繁に発生しており当局は常に原因を調査中と言っていますが、根本的な解決はされていません。
一部のアナリストは、中国の地下の天然ガス・パイプラインと電気ケーブルが爆発の原因であると述べています。
そしてガスパイプラインの爆発は、溜まったメタンガス以上に、深刻な被害を引き起こす可能性があると述べています。
これは不十分に構築された、インフラによって引き起こされる中国の都市全体の共通の問題です。
2023年には、中国で612件ものガス関連事故が発生、この数字はいかに危険が広範囲に及んでいるかを示しています。
中国都市ガス協会・安全管理委員会の報告書によると、612件の事故のほぼ半数が
天然ガスパイプラインに関連していることが明らかになりました。
612件という数字は2022年比で15件増加した事故数であり、2023年だけで16名が死亡、167人が重軽傷を負っています。
また、天然ガス事故の70%以上はパイプラインネットワークの問題によるものでした。
中国メディアの取材によると2023年に確認されたガスパイプライン事故のうち、上位3つは
資格を持たない第三者による建設工事、パイプラインの腐食、自然災害でした。
そして建設工事の問題が最大の原因であり、事故の85%を占め、それは前年から約12%増加していることが明らかになりました。
中国の専門家は「最大の危険は中国の地下天然ガス・パイプラインネットワークが老朽化し劣化、
これらの巨大なパイプラインは、いまや都市の地下にある火山のようなものです。」と述べています。
中国の都市ガス市場は、過去20年間で急速に成長しました。
これはガス産業が、中国の不動産や新エネルギー車と同様に、制御不能にまで成長した時期でもありました。
中国西部や中央アジア諸国で産出される天然ガスを、中国東部の消費地に輸送する「西気東輸」パイプラインは、中国全土の2800以上の都市に天然ガスを供給しています。
「西気東輸」パイプラインプロジェクトは2002年7月に開始、中国の都市にガスを供給するようになりました。
中国都市・農村建設統計年鑑によると、2022年までに、中国のガス利用者は約3億2700万人。
内訳は、2億3800万人のパイプラインによる天然ガス利用者と、5300万人のLPガス利用者です。
中国の天然ガス・パイプラインのネットワークは12万kmに及び、その7万km以上が、すでに20年以上も稼働しています。
専門家は、これらのパイプラインは、安全性を犠牲、低品質の腐食防止剤や粗雑な建設行い、急ピッチで行われたと述べています。
ある専門家は、自身が取材した粗雑なパイプライン建設について説明、請負業者は安全コストを削減、
現在も多くの場合、より安価で、標準以下の材料を使用し利益を得ていると指摘。
そしてこれは、中国で粗雑に建設されたインフラが非常に一般的である証拠だと述べています。
学者はまた、ガスパイプラインや周囲のガス施設を圧迫する建物など、住民による違法な建設が危険をもたらすと指摘しています。
2024年3月13日、河北省三河市 (さんが-し)で大規模な爆発事故が発生、中国全土に衝撃が走りました。
三河市 緊急管理局、ホング局長の発表によると、原因は天然ガス・パイプラインのガス漏れによるものでした。
三河市は、中国で天然ガスパイプラインを導入した、最初の都市の一つです。
この場所の地下ネットワークは複雑で、いくつかのセクションは20年以上前に敷設 (ふせつ)され、
ガスパイプラインは地下12mの深さに埋設、漏れが1か所なのか複数なのかを判断するのは困難です。
局長の結論は明確でした。パイプラインは非常に深く埋まっており、
ガス漏れ箇所を見つけることはほぼ不可能、つまり修復できないということでした。
次にガス爆発が、どこで発生するかは誰にも予測できません。
これは三河市で、過去3年で発生した3回目のガス爆発事故でした。
2022年には、5月16日の住宅爆発、6月24日のレストラン爆発の2つのガス爆発が発生しました。
どちらも、この事故があった場所から、わずから2km以内の場所でした。
しかし、安徽省 (あんきしょうの公安専門家であるゴン・リン氏は、3年間で半径2キロ以内で3回のガス爆発が発生したことは、
三河市の自治政府が、過去の事故から何も学んでいないだけだと指摘しています。
他の専門家も、中国のガスパイプラインは現在、事故率の上昇期に入っていると説明。
「パイプラインなどのプロジェクトが2000年に始まって以来、各都市はガスネットワークを急速に拡大してきました。
多くのパイプラインと施設は現在、20年以上使用されており、安全上の懸念から交換が必要です。
しかし、これらのパイプラインを更新するには多額の資金が必要です。」と述べました。
しかし問題は、資金をどこから調達するかです。
近年、中国ではインフラが急速に成長しています。どのプロジェクトも継続的なメンテナンスが必要で、コストがかかります。
地方自治体はインフラを支えるために財政収入に頼っていますが、メンテナンス費用の上昇は地方予算に大きな負担をかけています。
不動産市場の崩壊後、中国の地方自治体の多くは、現在、多額の負債を抱えています。
その為、自治体はガス会社に、パイプラインの入れ替えをガス会社に依存することになります。
中国全土の3億人を超えるガス利用者は、公益事業に分類されているにもかかわらず、
国有の独占企業として運営する都市ガス会社に、ガスの利用料金を払っています。
独占企業である彼らは、価格を自由に引き上げ、修理コストを国民に転嫁することができます。
メディアの報道によると、中国の多くの人々は、使用量に大きな変化はないにも関わらず、
2023年後半から、ガス料金が上昇したことに気づき始めました。
また天然ガスに依存しているトラック運転手も大きな打撃を受けており、上昇するコストを支払う余裕がなくなったと言うドライバーが多くいます。
あるドライバーはSNSで次のよう語りました。
「数年前に天然ガストラックを購入した皆さん、今はどうしていますか?
天然ガスの価格は最近急騰しており、すでに1キログラムあたり6元または7元(日本円で126円または147円)に達し、
場所によっては、ガソリンとほぼ同じ8元(日本円で168円)に達しているところもあります。
そして、価格は依然として上昇しています。まるで喉元にナイフを突きつけられているような気分です。
トラック運転手の皆さん、頑張ってください!」
中国では小さな事故は無視され、大きな事故が発生すると、隠蔽される体質が今も続いています。
業界の専門家は、天然ガスパイプラインの安全上の問題は深刻であり、早急に対処しなければならないと警告しています。
中国都市の、ガスインフラには深刻な問題が山積しています。
あなたは中国で、このようなインフラ問題が頻繁に発生する状況についてどう思いますか?
それではまた次の動画でお会いしましょう!
ご視聴ありがとうございました!
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